投稿コーナー2

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とりあえずこれから復活させてみました

歯科医の彼女 - とも

2018/09/23 (Sun) 23:21:21

『ほら、口開けて?』

「やだ。」

このやりとりを何回繰り返したことか。

事の発端は、デート中、右頬を押さえてため息をつく姿を見てからだ。

『亜紀、歯痛いの?』

「違う!痛くないよ。」

『なら見せて?』

「絶対やだ!」

付き合って半年の俺ら。
合コンで出会って意気投合して、すぐ付き合いだした。
彼女は癒し系の美人で笑った時の八重歯が可愛かった。

俺は合コンの時は歯科医であることを言わない。歯科医ってわかるだけで、寄ってくる女達がいるからだ。

亜紀とは付き合いだしてから、歯医者であることを伝えた。
びっくりしていた亜紀だったけど、極度の歯医者嫌いとは思わなかった。


『亜紀、歯医者通ってるの?虫歯は我慢してても治らないからね。』

亜紀は首を振る。

『亜紀、歯医者さん苦手でも頑張ろう?
俺に治療させて?』

亜紀は首を振る。

『亜紀は歯医者の何が嫌いなの?
痛いこと?音?匂い?』

「全部。あと絶対怒られる…
朋くんも怒るでしょ?何でもっと早く治療しないんだって。」

『怒らないよ。』

「うそ。きっと私の事嫌いになるもん。」

『ならないよ。怒らないし、優しくするし、嫌いにならない。約束する。』

「ほんとに?」

『うん。大丈夫。だから、俺に任せて?』

「……ぅん。」

歯科医の彼女2 - とも

2018/09/24 (Mon) 00:56:22

何とか歯科医院に連れてくる事に成功したが、
一筋縄ではいかない。

うちの歯科医院はあんまり歯医者臭くないように気をくばっているのだが、やっぱり歯医者嫌いには嫌な匂いだったらしい。
歯科医院に入ってすぐ、亜紀は泣きそうな顔をしている。

アロマデフューザーにオイルを垂らし、アロマ効果を期待する。リラックスする香りだ。

『亜紀、歯科医院に来てくれてありがとう
準備してくるから、ここで問診票書いててくれる?』

問診票を渡す。

「ぅん…」

どん底のテンションだが問診票を受け取ってくれた。

俺は診察室に入り、機器の電源をいれたり、物品を準備して、最後に着替えをして亜紀の所に戻る。

『問診票書けた?』

亜紀はそっと問診票をだす。

既往症、アレルギーはないな…
最後のフリースペース欄には

痛くしないでほしい。

と小さく書かれていた。

頭を悩ませるところだった。
痛みの出てる虫歯は全くの無痛で治療するのが難しい。
抜随となればなおさらだ。
こちらとて、痛くしようとして治療しているわけではない。
胸が痛くなった。

『ありがとう』
と受け取り、

『診察室行こっか。』
そっと手を握る。

終始俯いたまま、診察室に入ってくれた。

『最初にレントゲン撮ろうかな。こっち来てね。』

緊張を和らげるために、まずはレントゲンを撮る。

レントゲン撮影後、同じように手をつないでユニットに向かうと、ユニット前で亜紀の足が止まった。

「怖い…」

とか細い声で。

歯科医の彼女3 - とも

2018/09/24 (Mon) 01:22:34

『うん、怖いね』
亜紀の手をぎゅっと握る。

ここで焦らせてはダメだ。
亜紀が治療を受ける気になるまで、ゆっくりサポートしていかなければ。

『何が怖い?』

「…全部…」

『うん、全部か。』

今度は亜紀の正面から亜紀を抱きしめる。

『亜紀が頑張ろうって思ってくれたら治療するよ。
すぐには始めないから。大丈夫。安心して?』

「ぅん…」

ぎゅっと抱きしめる。


少しして、亜紀から体を離してくる。

小さい声だが、
「頑張る…」

『うん、ありがとう、嬉しいよ。』
そう言って、ユニットに座るように誘導する。

『ここ座れる?』

亜紀はゆっくりユニットに座ってくれた。

『まずは検診してもいいかな?』

歯科医の彼女4 - とも

2018/09/24 (Mon) 09:20:14

ユニットに座ってくれたが、なかなか口を開けてくれない。

『口開けて?』

優しく言っても首を振るだけ。

『痛いことしない、まずは診るだけ。』

首を振る。

『ねー口を開けてくださーい』

ふざけた口調でもダメ。


よし、奥の手だ。
マスクを外して、そっと口付ける。
亜紀はびっくりした顔をして、頬が赤く染まる。
あーくそー可愛いじゃねーか!

『ほら、口開けて?』

『開けてくれないともう一度チューするよ?』

少し笑ってくれた。

『口開けて?』


亜紀は観念したのか、少ーしだけ口を開けてくれた。

すぐにミラーを差し込み、口を閉じないように、指を入れる。

『少し診させてね』

ミラーでゆっくり1本1本診ていく。

左上から…8番C2、7番○、6番○だけど…二次カリだな。5番C2、4、3、2は斜線、1と1間はC1とC2、2~5番斜線、6番○、7番C2、8番C2

上の歯だけで6本か…
なかなか手強わそうだな。

下の歯も診ていく。
右下8番C2、7番…ここが痛む所だな…インレー脱離を放置してたのか…C3だな。6番もC2、5番C1、4~反対の5番まで斜線、6番○、7番C1、8番斜線


マスクの中でふぅぅぅとため息をつく。

終始無言だった亜紀が不安そうに俺を見つめる。

「朋くん…ごめんなさい…」

歯科医の彼女5 - とも

2018/09/24 (Mon) 20:02:22

『ん?何で謝るの?』

「だって…」

『亜紀は何か悪い事でもしたの?』

「虫歯…」

『虫歯があったら、悪いことなの?そしたら、世の中の人、悪い人ばっかりだなぁ』
意地悪をいう。

亜紀は首を振る。

『ごめん、ごめん。俺こそごめんな。もっと早く診てあげてれば良かった。痛いの我慢してたんだよな。早く俺に相談してくれれば良かったのにって思うけど、俺に診られるの恥ずかしかったんだよな?今日は頑張ってくれてありがとう。』

亜紀は首を振る。

『それで、虫歯がたくさんあるから、治療を頑張ってもらいたいんだけど…』

亜紀は首を振る。

『うん、歯医者さん怖いんだもんな。少しずつ、歯医者さんに慣れて、ゆっくり、なるべく痛くないように治療していくから、一緒に頑張ろうよ?』

亜紀は泣きそうな顔をしているが首は縦にも横にも振らなかった。

『亜紀も治さなきゃいけないことはわかってるよな?
だから、今日はここに来てくれたんだろうし。亜紀が怖くなったら、いつでも言ってくれていいし、頑張れるまで最後まで付き合うからさ。』

「朋くん…朋くんは何でそんなに優しいの?虫歯だらけの彼女嫌じゃないの?」

『虫歯があってもなくても亜紀は亜紀だから。俺が好きな子に変わりはないよ。』

「ありがとう…」

歯科医の彼女6 - とも

2018/09/28 (Fri) 20:20:32

『今日はどうしようか?
まず小さめの虫歯を治療して、少し治療に慣れてから大きい虫歯を治療しようか?』

首を振る。

『頑張れない?』

首を振る。

『どうする?亜紀はどうしたい?』



「…痛い所を治療してほしい…」

『え?頑張ってくれるの?』

「だって…毎日痛くて、薬飲んだり、眠れなかったりしてるから。」

『そっか。早く言ってくれれば良かったのに…ごめんな…』

「朋くんのせいじゃない。私が悪いの。
早く勇気を出して、朋くんに話せば良かった…
こんな虫歯だらけの歯見られたら、嫌われるって思ってたし、怒られると思ってたから…ごめんなさい。」

『亜紀、謝らないで。じゃ、今日頑張って、痛い所治療してしまおうね。頑張ってくれたら、ごほうびあげるからね。』

「ごほうび?ほんとに?」

亜紀の声が明るくなる。

『うん、ちゃんと頑張ったらな!』

「がんばれるかな…」

『大丈夫、頑張れるよ(^^)
よし、始めていこうか。』

「うん…」

歯科医の彼女7 - とも

2018/09/28 (Fri) 22:34:46

『麻酔からしていくよ。塗る麻酔からね。
痛くないからね。イチゴの匂いがしてきたかなー?』

表面麻酔を施していく。
子供の治療の様に、優しく、ちゃんと説明をしながら治療を進めていく。


『麻酔がちゃんと効いてくるまで、少し待とうね。』



『どうかなー?麻酔効いてきたか触らせて?
大丈夫そうかなー?
麻酔していくね。動かないでね。』

浸潤麻酔を打っていく。
しっかり表面麻酔が効いていたからか、麻酔の針を刺した瞬間も表情は変わらず、麻酔薬をゆっくりゆっくり注入していく。

『はい、麻酔終わり!
うがいしてねー』

「え?もう麻酔打ったの?全然痛くなかったけど…
麻酔は痛いのが普通じゃないの?」

『俺の腕がいいから、痛みなく麻酔が打てるんだよ(^^)』

「朋くん、すごいね!」

嬉しそうな顔で俺を見てくる亜紀がとても可愛くて、思わず抱き締めたくなる。



『麻酔効いてきたかな。そろそろ始めるよ』

歯科医の彼女8 - とも

2018/10/06 (Sat) 21:50:44

亜紀は首を振る。

『ん?どうして?麻酔したから大丈夫だよ。』

首を振る。

『亜紀、頑張ってお口開けててくれるだけでいいんだよ?
何かあったあったら左手挙げて教えて?』

首を振る。

『大丈夫、頑張れるよー』

と言いながら、少し強引に亜紀の下顎を押し下げて口を開けさせ、指を入れ大きく開けさせる。

『そのまま頑張ろう』


タービンを持ち削始める。
キュィィンキュィーーンキュィーーン

「いや!」
頭を動かそうとする、

『っとあぶない!』
タービンを止める。


「ごめんなさい…」

歯科医の彼女9 - とも

2018/10/06 (Sat) 21:59:46

『動いたら危ないからね。左手挙げて教えて?』

「ごめんなさい…」

『謝らなくていいよ。』

亜紀は涙を浮かべていた。
『一回起こすね』

ユニットを起こす。
『亜紀、大丈夫だからね。今日頑張って、痛いのなくそう?治療はちょっと痛いかもしれないけど、今日頑張れば、その後は痛くなくなるから』

「ぅん…」

『少しずつ、ゆっくりやっていこうね。』

ユニットを倒す。

『大きく開けててね~』

キュィーーンキュィーーン…

少しずつ削っていく。

亜紀の眉間にシワが寄る。
「ん!」

歯科医の彼女10 - とも

2018/10/07 (Sun) 15:52:26

『痛い?』
首を縦に振る。

『麻酔足そうね。』
麻酔を追加する。

『少し頑張るよ。亜紀、何かあったら、左手だからね?』
首を縦に振る。

キュィィーーン…

しばらく削り進めると、また亜紀の眉間にシワが寄る。
でも左手は挙がらない。
もう少し頑張ってもらおう…

キュィィーーンキュィィーーン……

「ぃたーっい!」
一際大きなな声が上がった。
露髄した。

タービンを止める。
『亜紀、痛かったね、ごめんね。
うがいしようか。』

ユニットを起こし、うがいをさせる。

亜紀がうがいをしている間、麻酔を準備する。
次は髄腔内に打とう。

うがいを終えた亜紀はこっちをうるうるとした目でみていた。

『亜紀、うがい終わったかな。次は神経を抜いていくけど、その前に…』

「もういやだよー」

ポロポロ涙を流して泣き始めた。

『亜紀…』
涙を流して泣き泣いている亜紀が可愛くて、可愛そうで、ぎゅっと抱き締める。

しばらくそのままで時間が過ぎていった。

「ともくん、もう終わりにして?」

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